注目したいHBR論文:“Evaluating Signals of Technological Change” James R. Bright, Harvard Business Review : January-February 1970   June 2008
世界的に著名なコンサルティング会社、ボストン コンサルティング グループ創業者のブルース・ヘンダーソンは、元BCG代表取締役社長でドリームインキュベータ(DI)代表取締役である堀紘一氏に、足元に茂っている雑草を指差して、こう言ったそうだ。

「おまえにはどれが雑草で、どれが松になるか分かるか?おまえは五年後の世の中がどうなっているか分かるか?」  「いったい、いま起きていることで、五年前には影も形もなかったものがあるか?商品としては出回っていなくても、研究所には十年前からあったものがほとんどだ。 ならば、五年後に起こることはすべて、実はいま芽が出ているということが分かるはずだ。この雑草の中でどれが雑草のままで終わり、どれが松の木へと成長していくかが見分けられれば、五年後の世界がどうなっているかも分かるのだ」 (『超人脈力』堀紘一(著))

ほとんどの変化は、ある日突然起きるのではなく、表に出るまでに徐々に起こっている。そして、すでに起こっている漸進的な変化は、よく目を凝らせば、理解することができ、それができれば、未来が見通せるというわけだ。

今回の論文は、「Evaluating Signals of Technological Change(技術的変化のシグナルを評価する)」。1970年のものだ。概要としては、次の通り。

ほとんどの技術的イノベーションは、広く使われ、普及する、かなり前に、理論や研究所、フィールドテストなどで目に見えている。 そのため、環境の変化をモニターすることで、将来に大きな影響をもたらすような変化(およびその進展)を認識することができるのだ。

そして、この論文は、そのような変化のサインをとらえるために、環境の変化をモニターする方法について書かれたものだ。 シグナルのタイプとしては、技術的環境におけるシグナル、経済的環境におけるシグナル、社会的環境におけるシグナル、政治的環境におけるシグナルがある。

ここで例示されているのは、航空メーカーの視点から見たミサイル開発の技術進歩についてである。 たとえば、1948年にトランジスタの発明が報告されたとき、その変化をモニターしている人間にとっては、この変化が、コントロール機能の小型化や信頼性の向上につながり、結果、ミサイル誘導の向上につながるものなのだと認識できただろう。


あなたが、ハイテク関連や技術変化に関連のあるタイプの仕事をしていれば、この論文から何らかの示唆に富むものを得られるかもしれない。 しかし、率直に言って、普通の生活をする上では、直接的な影響は薄い。けれども、直接関連がない人でも、この論文から得られるものが、二つある。 それは、「 変化への適応」と「新しいビジネス機会」だ。

ここでは、インターネットについて考えてみよう。たとえば、インターネットという技術的イノベーションは、一般に普及する前でもアカデミックな分野の人間は使用されていたものだ(技術的変化のシグナル)。もちろん、いくつかのメディアは、それについて報じていたはずだ。そこでも、まだ認識できていなくても、次のシグナルがある。

windows95の登場の際、一般個人レベルでのインターネットの利用が普及していった(技術的変化のシグナル)。 もちろん、当時は電話回線を使ったもので、速度も遅く、費用も高くついた。 しかし、時が経ち、さらにブロードバンドの普及が起きた(技術的変化のシグナル)。これで常時接続が一般的になり、大きく普及することとなった。

1.変化への適応
もし、あなたが本屋で、本を売っているのであれば、技術的変化のシグナルが起きたいずれかの時点で、インターネットで本を売り始めることができたはずだ。 また、もし、あなたが遠く離れた相手とビジネス上のやり取りを効率的に行いたいと思っていれば、Eメールを活用し始めることができたはずだ。

これらは、今、あなたが行なっていることと、技術的変化がどのように結びついているのかについて考え、その変化に対して、効果的に適用しようというものだ。 短く言えば、ダーウィンの進化論(「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」)をうまくやることができるというわけだ。

2.新しいビジネス機会
次のメリットは、単純だ。技術的変化は、しばしば、巨大な富を生み出すきっかけとなる。トランジスタの発明がソニーにとっての大きなビジネス機会となったように、インターネットも大きなビジネス機会を生み出した。ヤフー、アマゾン、グーグル。あまたのインターネット企業は、この新しいビジネス機会を利用していることになる。

この論文に書かれたフレームワークは(すでに活用している人は、活用しているが)、現代のすさまじいペースで起こる技術的変化の波に対して、先手を打ち、適応・活用をすることができる有益なフレームワークだと感じる。

  追伸:ブルース・ヘンダーソンがBCGを設立したのが1963年だったので、前述の発言は、この論文に影響を受けているのかもしれない。
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